「梨泰院(イテウォン)クラス」のざっくりあらすじと感想

ちょっと前にブームになった(のかな?)ドラマ「梨泰院クラス」です。話題になるのは良いドラマ。ということで視聴開始!

舞台は韓国。飲食業大手「長家」の創業家チャン・デヒ会長と息子グンウォンとそれに敵対することになるパク・セロイ(パク・ソジュン)。あえてジャンルを付けるとするならば4割ビジネス、4割恋愛、2割復讐というようなゴッタ煮人生ドラマといった印象を受けます。こういう複数テーマのドラマは一歩間違うと後半破綻していくものが多いと思いますが、このドラマは準備が良いというか骨格が良いというかしっかりとバランスを取りながら満遍なく各テーマを進めていく良い仕立てになっているようです。

シーズン1

人生の様々な場面に出てくる弱肉強食を描いています。片方は金と権力を存分に利用し利益のためには手段を選ばずひたすら頂点に君臨するという考え方。もう一方は金も権力も持たず、己の信念と仲間、味方として関わった人間たちを大切にして頂点を目指すという考え方。お互いに自分のやり方を貫き通して激突し、最後に勝つのはどちらなのか?・・・というストーリー。

いちいち腹が立つチャン・デヒ

ザ・権力者として登場するのが長家の会長チャン・デヒ(ユ・ジェミョン)。宣材写真とこの役の顔が違いすぎて何度も見直してしまうほど別人になりきっていますね。とくに眉毛のメイクでガラッと印象が変わっているような気がします。もともと悪役顔ではないお顔立ちなのでこれを作りこむのに苦労しただろうなと思います。

この会長、とにかくいちいち腹が立つ。ドラマ冒頭、オ・スア(クォン・ナラ)がいる施設への援助打ち切りの話でサラッと触れたとおり、合理的じゃないものを切り捨てるという考え方なのはその時点でわかっていましたが、セロイがいじめられっ子を救った際、悪いのはグンウォンなのは周知だったにもかかわらずセロイに向かって「息子に土下座して謝れ」って・・・帝王学を学ばせるなら逆だろ?と。挙句長年功績のあったセロイ父のパク部長を簡単にクビにしてしまった。血も涙もない仕打ちとはこのことだろうなと。

こういう意地悪な時の会長の顔が本当に腹立つなぁ・・・セロイ必ず復讐してくれ。

さらに腹が立つチャン・グンウォン

会長も腹が立つけどさらに腹が立つのはその息子チャン・グンウォン(アン・ボヒョン)の顔。顔芸とメイクが相乗して憎らしさ倍増という感じです。顔もそうなんだけど、不遜な言葉遣いといい、世の中を舐めきった態度といい絵に書いたようなドラ息子加減がもう最高すぎます。

セロイに2度もぶん殴られたことで、敵意剥き出しになるのかと思ったけど喧嘩では勝てないと思うのか実はグンウォンがセロイへ反撃することは一度もありません。憎らしいのは顔と言葉だけというところもまた親の力がなければ何者でもないというバカ息子ぶりをよく表していると思います。

セロイへの嫌がらせは当然腹が立つのですが、個人的にさらに腹が立つのがオ・スアへのアピール。好きなのはわかるけどスア様は全くその気がないのにやたらと車に乗ってく?という自意識過剰ぶりが本当にイラッとするシーン。邪魔すんなよ・・・グンウォン。

ところでアン・ボヒョン。彼もパク・ソジュン同様高身長で抜群のスタイルなのですが、パク・ソジュンとは少し違うのが体型。アン・ボヒョンの方がかなり筋肉質で水泳選手のような体つきだなと思っていたら、若い頃ボクシングをやっていたようですね。納得!

彼のセリフ「パク・セロイ〜」が癖になってしまってます。

パク・セロイの髪型

作中、色あせることなく強烈な刺激として視覚に訴えてくるセロイ君の髪型。日韓W杯のロナウドのようだし、古いところで言うと子連れ狼の拝大五郎のようだし。とにかく前髪パッツンでモリっとしているので本来顔立ちが良いはずのパク・ソジュンをもってしても顔よりも髪型に視線がむかってしまうということになります。

もう少し前髪短めだとバランス良かったんじゃないかな?と思うけど。原作どおりということなのでしょうか?

チョ・イソの“ソシオパス”とは?

チョ・イソ(キム・ダミ)がソシオパスとして表現されています。反社会性障害?社会不適人格?普通の人たち(この普通の定義自体が曖昧だけど)が社会でできることがソシオパスにはできないとか、ひとりだけ違うことをしてしまうとか。そういった人のことを総じてこう呼ぶのかもしれません。私的にはこの区別みたいなのがあまり好きじゃないかも。そもそも普通ってなんなんだ?というところ自体が疑問なので。簡単に言うと“常に空気読めないよね?”という人がソシオパスと呼ばれる人なのかもしれませんね。

チョ・イソを見ていると確かに言わなくて良いことを言うし、その場面でそれをやるか!という行動も多い。だけどそれはただの個性なのではないかと。彼女がソシオパスと言うなら、会長、グンウォン、セロイ、スアだってみんなソシオパスな気がしてくるんだけどな。好きか嫌いかは別としてみんな個性が強くて面白いのですけどね。

マ・ヒョニの“トランスジェンダー”

国柄なのか?という感覚で観てしまったのがトランスジェンダーの話。日本語で言うと性同一性ということらしいです。確か前はこれに「障害」って言葉がついていたと思うけど最近はそれが取れたようですね。確かにこれは障害ではないので当然なのだけど。

で作中、マ・ヒョニがトランスジェンダーであることが公表されます。それによって誹謗中傷の嵐が。「トランスジェンダーが作った料理など食えない」とかなんとか・・・偏見もいいところだなと。私個人的になのかもしれないけど、こういう感覚ってピンとこないです。恐らく日本人の中でもそこそこ多くの人たちがこういう感覚なのではないかと思います。確かに珍しさはあるので驚きはするだろうけど、少なくとも軽蔑とか蔑みの対象とは考えないはず。

で韓国の話。ドラマの中での一アクセントとして強調しただけなのかもしれないけど、これが日本だとしたら同じように異質なものとして露骨な誹謗中傷が出てくるだろうか?と。今日本の地上波にはたくさんのトランスジェンダー(女装家・男装家なども含む)のタレントさんが活躍されていると思いますけど、彼らをそういう目で見る雰囲気はたぶん全くない。というか、かなりリスペクトを浴びて活躍されているのがわかる。話もうまいしそのキャラクターを最大限発揮して売りにしているので。

作品中、トランスジェンダーをこういう扱いで取り上げたということは、もしかして韓国って性同一性に対して社会での風当たりが厳しいのかな?という印象を受けました。海外との繋がりは日本より遥かに多いと感じていたのでこれがかなり意外。もしかして閉鎖的というか保守的な意見が多いのかな?なんて思ったのでした。

グンウォンのご乱心

そりゃそうなるわな。親に捨て駒にされて、株も手放せとなったら永久追放ですからね。恨みは当然抱えるわけですね。その矛先が自分の親ではなくてパク・セロイだというのが救いようがないバカだとは思いましたけど。結局刑務所に入っても何も反省せず何も変わらなかったということ。

で何をしたかと言うとパク・セロイに対しての復讐。

それは違うだろぉ〜。正直少しは改心することを期待して観ていたけどここまでガッカリな奴だったとは思わなかった。なんなら改心してスアとも良い関係になったりするのかな?とも思ったけど結局そんなことはなかった。彼の人生はいったいなんだったのだろうか?虚しくないのか?生きていて何になるんだ?目標はパク・セロイへの復讐。仮に成功したとしてその先に何があるのかを考えることはなかったのだろうか?

ということで本人も自覚ありの正気を失った状態へと突入し、若のご乱心となるわけでした。

最終就職先が刑務所で良いんじゃないかと思う残念な人でした。

デヒ会長の良いところを探してみたけど・・・

人間悪いところばかりではないので、こんなクズ人間のデヒ会長にもなにか良いところがあるのでは?と思って観ていた人も案外多かったのではないかと思います。私はそうなんだけど、実際そういう目で観ていたけどとにかく何ひとつ良いところが見当たらなかった。何をするにしてもクズ、というかゲス。パク部長の事故隠蔽からはじまり、息子への「弱者は家畜」教育、徹底的なセロイへの妨害工作、グンウォンの切り捨て、グンウォンの悪事を利用してのセロイへの土下座強要などなど、なにひとつ救えるところが無かった。ドラマなので何かひとつはいいところがあるのが普通だけど本当にないのね?という感じでした。

昔、食うに困って創業したというところからすると本当は弱者の気持ちが痛いほど良くわかっていたはず。だから改心するポイントは沢山あったんじゃないかなと。例えばパク・セロイが頑張っている様子を観て自分の若かりし頃に重ねてみることもなかったのだろうか?、または次男のグンスが健気にタンバムで働く姿に不憫な思いをさせているという悔いは感じなかったのだろうか?

残念ながらそういう気持ちは全く起きなかったようです。なんなら、それすらも若造がとか面汚しとかそういう憎悪の対象としか見ることができなかった。ある意味スゴイ人でした。徹底して悪の人。

最後の最後にセロイに謝罪をしますが、時すでに遅し。屈辱的な言葉をかけられ若造とバカにしていた人間からも蔑まれてしまうことに。これで死んでいくのかと思うと哀れでなりません。チャンガが全てで生きてきたけど、結果として残ったのは何もなかった。家族は離れ、社員も離れ、チャンガも無くし、軽蔑していたセロイからも蔑まれて終わった。

「力を失ったあんたの土下座に何も価値はない、ビジネスだからチャンガは頂く」

このシーンを観てかつてセロイに土下座を強要したのを思い出しました。結局土下座なんて無意味なことだったとセロイは悟ったのかもしれませんね。そんなくだらないことに拘ってきたデヒ会長って一体何者なんだろうか。

権力者であればあるほど謙虚であるべきというのはやっぱり正しいなと思ったのでした。

スアちゃんがフラれるなんて!からのどんでん返し

結局、セロイはスアちゃんではなくイソちゃんを選びます。これは好みの問題だし、後半なんとなく一途なイソちゃん推しの気持ちも無かったわけではないのでまあまあ良かったんじゃない!とは思った。けどそれにしてもスアちゃんほどの美女を振ってしまうなんて、罰当たりな野郎だな、このとっつぁん坊やと思ってしまいました。

しかしまんざらでもない結末が。スアちゃんが独立してお店を出しますけど、そこで運命の出会いが。

ハッキリ言いますけど、おじさん的にはこの彼を絶賛オススメしておきます。イケメン過ぎる!スアちゃんにお似合いすぎるので。

ということで自分的にはセロイじゃなくて良かったんじゃないかというオチがつきました。

まとめ

最後の最後で復讐劇が過激になりすぎて脱線しそうになったけど、その程度は想定内というところでしょう。全体を通して映像が美しかったしストーリーの展開に無理がなく自然だったのが良かった。人気があったようですがそれを裏切らない作品だったと思います。韓国映画はたまに観ていて面白いと思ってはいたけど、ドラマのほうはなんとなく「冬のソナタ」でオバハンがバカ騒ぎしていたイメージが強すぎて今まで敬遠していた節がありました。でもこの作品でそのイメージが変わったと思います。韓国ドラマファンになりそうな予感が。

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